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現代「社葬」事情-企業の永続的発展のカギを握る社葬

  • 社葬の準備など縁起でもない。
  • そう思っているとしたら大間違いだ。
  • 事業承継という観点から考えると、社葬は後継者を顧客や取引先に紹介し、新しい経営陣が万全の体制を整えていることをアピールする絶好の場である。
  • 社葬の成功は企業の信頼性を高め、事業の発展・拡大につながっていく。

よい社葬は企業の危機を チャンスに変える

企業を取り巻くリスクは、地震や火災、格付けの下落、為替や金利の変動などさまざまある。そうしたリスクがもたらす損失の最小化を図る経営手法がリスク・マネジメントだが、近年は社葬をリスク・マネジメントのひとつとして捉える傾向が強まっている。

本来、葬儀というのは故人を追悼し、功績をたたえ別れを告げる場だが、企業が営む社葬はそれらに加えて、後継者と次代の経営陣を披露し、今後の経営姿勢を内外に示す事業承継の儀式という意味を持っている。つまり企業にとって重要な広報活動のひとつなのである。

失敗すれば社のイメージダウンは避けることができない。事実、席次の間違い、配車のミス、時間配分の甘さなど、混乱が見受けられる社葬も少なくない。葬儀は決してやり直しがきかないので、失敗がもたらす経営リスクは想像以上に甚大だ。

一方、真心のこもった厳粛な葬儀を営むことができれば、顧客や株主、社会に対してよい印象を与え、信頼を高めることができる。企業にとって重要な人物の死は大きな痛手だが、社葬はそのピンチをチャンスに変える武器にもなり得るのだ。いざという時に慌てないために、綿密な準備を整えておきたいものである。

社葬

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社葬の準備

かかる費用は数千万円資金準備は定額保険で

社葬を滞りなく行うためにはどのような準備をしておけばいいのか、主な事項を紹介しよう。

まず社葬に関する明確な規程をつくり、制度化しておくことが不可欠だ。規程の中には執行の範囲と基準を必ず盛り込んでおきたい。つまり、「誰が死亡した場合に社葬を行うのか」と、「会社として葬儀費用をどこまで負担するのか」の2点である。 現職の会長、社長、役員が死亡した時は社葬を行うのが一般的だとしても、元会長、元社長、顧問、殉職者の場合はどうするのかなど、一定の目安をつくるべきである。

執行基準については、たとえば次のように段階を設け、実際の執行に当たっては生前の役職や功績によって対応するのが理想だ。

  • 【社葬A】社葬に関する費用を全額会社が負担する
  • 【社葬B】寺院関係(戒名料・お布施)以外の費用を会社が負担する
  • 【準社葬(合同葬)】葬儀費用の一部を社葬費として会社が負担する

このほか、基準外の決定方法や例外規定も盛り込む必要がある。

費用についてだが、社葬は個人葬と比べて規模が大きいので当然高額になる。数千万円の出費は想定しておきたい。

この資金準備に有効かつ合理的なのは、死亡保障のついた定期保険だ。定期保険は少ない掛け金で最高5億円の保障を受けられ、契約者と保険金受取人を会社にしておけば保険料の一部を損金、あるいは必要経費として計算できる場合もある。

なお社葬にかかった費用を経費として計上する場合は、取締役会で承認されたということを示す議事録を作成しておくことが望ましい。領収書をきちんと揃えても議事録がないと否認されることがあるからだ。経理・税務関係の事項については会計士や税理士など専門家と相談して、漏れがないように準備しておきたい。

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社葬の舞台は寺院からホテルへ

どの社葬に行っても装飾や演出が似たり寄ったりだと感じた人は少なくないだろう。しかし価値観の多様化につれて、社葬の形にも変化が見え始めている。

故人の追善供養としての儀式から、顧客や取引先、社会への対応を重視した式典、お別れのセレモニーへと変わりつつあるのだ。

場所も以前は寺院や葬儀社の斎場で行うのが一般的だったが、最近はホテルを利用する例が増えている。ホテルはセレモニーにふさわしい格式を備えているし、大勢の会葬者に対応することができる。

経費面から見ると、寺院で行う場合には大テント、受付設備、待機場所、冷暖房設備、幕張りなどの費用がかさむが、ホテルならそれらを大幅に軽減することが可能になる。

企業の中には、宗教色の強い葬儀に関わることへの抵抗感から社葬を行わないところもあるが、ホテルでのセレモニーという形であれば宗教的な雰囲気が軽減でき、企業の社風を表すこともできるのでメリットは大きい。

ただしホテルの利用に際しては注意も必要だ。ホテルのバンケットは今でも結婚披露宴などの祝儀が基軸で、不祝儀の催しに不慣れだったり、社葬の進行や演出に長けたスタッフがいないところも多い。万一、遺族や会葬者への配慮を欠くことがあったら、それは社葬を執行する企業の責任であり、企業のイメージも損ないかねない。

そうした失敗を避けるためには、セレモニートータルプロデューサー、フューネラルプロデューサーなどと呼ばれる専門家に依頼するといいだろう。セレモニートータルプロデューサーは社葬の意義を踏まえながら、ホテルと施主企業の調整を行い、企業、故人、遺族に最適なセレモニーを企画・遂行してくれる。形骸化した儀式ではなく、厳かでぬくもりのある社葬を行う上でも頼りになる存在である。

個性化が進む中で、専門家とともに演出する社葬は企業の個性を打ち出す機会にもなりそうだ。

 

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