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「社葬」は事業承継の重要なセレモニー

  • 宗教色をなくし、後継者をアピールする場として活用されるように変化してきた社葬。
  • 今後はさらに、「社長交代式生前葬」へと進化する兆しを見せている。これからの社葬のあり方について3氏に聞いた。

座談会コメンテーターと司会

株式会社オフィスシオン

代表取締役
寺尾俊一氏

特定非営利活動法人

日本リスク・マネージャーズ協会

理事長 打出良夫氏

一般社団法人シニアライフ協会

専務理事

平井千元(ちはる)氏【司会】

1962 年三重県生まれ。東海大卒業後、葬祭会社に入社。葬祭の実務経験、葬祭会館建設の企画宣伝、プロデュース、 人事労務管理等に従事。2000 年、同社を設立。2007年から家族葬専門の 葬儀事業を展開、各地で開催される終活セミナー講師を務め、新たに総合社 葬プロデューサーも務めている。

1952 年富山県生まれ。明大卒業、多摩大学院修了。アリコ、ソニー生命、PCA 生命を経 て、2004 年10 月独立。保険流通革命を提唱し、1000 人の会を組織。2005 年5 月、リスク・マネージャーの資格研修、認定機関を創設、NPO 法人として東京都から認証された。

1955 年兵庫県生まれ。同志社大卒業。千代田生命、ソニー生命で「営業教育・マーケティング・新規事業」に従事。2009 年にシニアライ フ協会を設立。シニア世代の問題解決を図るため、「シニアライフ・プランナー、シニアコンシェルジュ」等の資格認定と地域拠点作りに奔走している。

 

平井

従来、中小企業の社葬は経 営者の死を悼み、その業績を偲ぶとともに、代替わりのお披露目の場としての役割を果たしていまし た。後継者が喪主になり、通夜にも告別式にも大勢の人が会葬に訪 れる葬儀です。ところが、最近は少し様子が違ってきているようです。今、社葬は、どのように変化してきているのでしょうか。

 

寺尾

私は長く社葬に関わっていますが、ここ15年ほど、社葬は企業のリスク・マネジメントのひとつであると盛んに言われています。

経営者が亡くなるのは、企業にとって最大のリスクですから、これをプラスに変えることは、企業にとって非常に重要なことです。得意先によい印象を与えることで後継者の評価を高め、これまでの友好関係を維持させると同時に、社内に対しては求心力を高めるのが社葬の意義です。

平井

社葬は事業承継の最後の仕上げというわけですね。

寺尾

ところが、最近は社葬を取り巻く状況がずいぶん変わってきています。長引く不況の影響でしょうか、個人の葬儀も社葬も規模が小さくなっています。

また、社葬では宗教色を避けたいという傾向も強くなっており、宗教的、儀礼的なことは親族が集まる密葬・家族葬で行い、告別式は宗教色を排した社葬で行うという企業が多くなっているのです。

そして、宗教色を排除するなら、ホテルでもよいのではないかということになり、10年ほど前からはホテルで「お別れ会」や「偲ぶ会」という形での社葬も行われるようになっています。

打出

宗教と切り離すのなら寺院で行う必要はない。アクセスのよいホテルのほうが便利だということですね。

寺尾

お別れ会としての社葬には、2つの目的があります。ひとつは、今までお付き合いのあった取引先への感謝。もうひとつは次期経営者のお披露目です。

ただ、一部の葬儀社は個人の葬儀については、マニュアル化を進めてきましたが、個人の葬儀とは異なる目的を持つ社葬のノウハウはまだ確立されていません。企業によってニーズが異なり、企業の特徴を引き出す社葬はマニュアル化できないのです。

打出

確かに、社葬が企業の生まれ変わりの儀式であれば、それをうまく演出しなければいけないわけですね。

寺尾

ホテルは今も、黒ネクタイで来るお客様を嫌うところがありますし、貸会場の役割しかしないところもあります。これでは、お別れ会として、きちんとした形にすることはできません。

そこで必要なのが、総合社葬プロデューサーです。

お別れ会では儀式として後継者の言葉も必要ですし、取引先への配慮も必要です。社葬はオーダーメイドであると考えなければいけないのです。集まってくださった方に食事をしていただくだけのお別れ会ではなく、亡くなられた経営者の遺志を伝え、後継者の下に新しいスタートをきるという印象を持っていただけるよう、関係者にしっかりアピールしなければならないと考えます。

平井

最近は、儀式がなくなって結婚も葬儀もどこか軽くなったような気がしますが、宗教色を排したものであっても、社葬は儀式として行う必要があるのですね。

寺尾

さらに、最近は企業のオーナー様が80歳、90歳までお元気ですので「引退式」をされたほうがいいのではないかと考えるようになりました。社長の引退と新社長のお披露目を行う「社長交代式生前葬」です。これには事業承継を親子2人で公にできるメリットがあります。まさにリスクヘッジです。

先代である親にとっては明確な引き際となりますし、子としては親孝行になりますし、新社長として後継者として、これから独り立ちして経営のかじ取りをしていくのだという覚悟を固める場にもなるでしょう。

打出

まさに事業承継の際の最大のセレモニー、イベントになりますね。

寺尾

今は経営者ご夫妻が介護施設などに入居されるケースも少なくありません。その前にきちんと交代式をなさるほうがいいのではないでしょうか。

 

グランダビアス

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